着物がお好きな方ならば、和装には「格」があるということは
ご存じかと思う。
でも、この「格」というのは物差しがとてもあいまいな部分もあって
着物を難しくしている原因の一つとなっているのも事実。
ナゼなら、格とTPOというのは人それぞれの感じ方にも関わってくるからだ。
先日も母の着付け教室に通う生徒がこんなことを聞いてきたそうだ。
彼女は、以前別の着付け教室で少し習っていたらしいのだが、
あまりに上達しないので、母のところへ蔵がえしたという人(こういう人、結構多い)だそうだ。
「先生、以前の教室の先生からお芝居に誘われたんですが、
桟敷席だから色無地着てこいと言われたんです。そういうもんなんですか?」
それを聞いてまず周りにいた他の生徒が、
「えーーーっ?紬で十分なんじゃないのぉ?」とまず声をあげたらしい。
母は一応、
「小紋で十分だと思うわよ」
さらに、「それでその人が文句言ったら私のところへ連れていらっしゃい!」
と答えたらしいのだが、後から私に
「紋付(色無地)に袋帯なんかして行ったら、余計に恥ずかしいわよね~。どこの田舎から出ておいでですかってお箸でつまみ出されちゃうわ。自分が出演するわけでもあるまいし」
とちょっと皮肉っぽく笑って話していた。
そう、この感覚の違いってありがちなのであある。
つまり、その人が、着て行くところにどういう感覚を持っているのかということが、
そのまま着ていくものに反映されるということなのである。
そして、もしかしたら、その人の生活環境だとか、感覚だとか人生に対して
どんな考え方を持っているのかということまで、現れてしまうかも
しれないと思うとちょっと怖いような気もする。
人を見かけで判断するなというけれど、こういう事実もあることを
覚えておいてソンはないと私は思う。


by 黒柳聡子
Twitterにはまる3